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連載コラム

なぜ今、通信制高校なのか?

2010年7月14日

日野公三さん

日野公三さん
1959年生まれ。岡山大学法文学部経済学科卒業。
(株)リクルートに勤務後、経営コンサルタントとして独立。
インターネットを使った通信教育の商品化を推進し、1999年(株)アットマーク・ラーニングを設立。
2000年インターネットを全面導入した通信制高校、アットマーク・インターハイスクールを設立。
2004年内閣認定の教育特区認定を受け、9月国内の高校として認可された「美川特区アットマーク国際高等学校」を設置、校長に就任(現在は理事長)。
2009年4月「川崎特区アットマーク明蓬館高等学校」を設立、理事長に就任。

教育現場は、保護者や生徒の多様なニーズに対応できていない

国による学習指導要領、検定教科書に沿って、全国津々浦々、どこに入ってもほぼ同じ内容の、公平・平等な教育が行われることが、日本の教育の質の高さを保証するものとして、高く評価される時代が長く続いてきました。
しかし、ここ20年の教育現場を顧みると、学力低下、いじめ問題、不登校の増加など、さまざまな問題が噴出し、保護者たちの教育行政や学校、教員に対する不信感は高まっています。
これらの問題は、多様化した保護者や児童・生徒の学習ニーズに応えられない従来の学校制度に起因するものだと私は思っています。
子どもたち一人一人、学習のスピードや興味の方向、学習の方法は違って当たり前、それをいかに支援していくかが、今の教育政策はもとより、学校教育現場に欠けているように思います。

これから必要なのはインディペンデントラーニング

教育というのは、どちらかというと「上から下に向かって知識を与える」という学校中心主義的なニュアンスがあります。
しかし、本来の学びとは、他人の意思ではなく自分の意思で学ぶ=「インディペンデントラーニング」であると思います。
人生において必要なのは学力よりも学習力であり、生涯において学習し続ける能力です。
中学高校、大学で学べるものは限られています。
いくら知識を詰め込んで、暗記したところで、変化・変動の激しい社会では、すぐに劣化して、使い物にならなくなります。
それよりは、自分で興味のあるテーマを見つけ、自分で答えを探す問題解決力、情報を集めるだけではなく編集し新たな価値を創造する情報編集力、調査能力や課題設定能力や実行力、発見力......そういう力を身につけることのほうがずっと大切だと思います。
残念ながら、多くの学校では相変わらず知識注入型の教育を行っており、自主的な学びの場とはなっていません。

通信制高校こそが自主的な学びを育てる

従来の学校に期待できないのなら、自分たちで新しい学びの場を作ろうという思いから、私はいくつかの通信制高校を立ち上げてきました。
本校の生徒の入学の動機は、個性的かつ多様です。
たとえば、昼はモデルをしている、親のビジネスのeコマースのシステム開発を手伝っているなど、学校以外の活動を重視していて、普通の学校に通えない。
あるいは、芸術や、ダンスなどで身を立てたいが、学校にはそのような科目がない。
本校で学んで、飛び級で単位を取り、ロンドン大学に入学した学生もいます。
時代が大きく変わろうとしている今、これから先もこのような子どもたちが増えていくのではないでしょうか。
通信制高校というと、ドロップアウトした人の受け皿というイメージを持つ人もいるかと思いますが、私はむしろ、これからの時代を生き抜いていく、インディペンデントラーナーを育てることのできる、数少ない選択肢の一つではないかと思っています。

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